1."身もこころも、藤の夢ぞ、更けゆくままにさきがけて、眺め覚えば刈り取りに移る時雨かな。”(第二帖「花宴」)
2.“音に聞きたてぬわが身に思ふさまは色に散りぬるよしもがな”(第三帖「初音」)
3.“恋ふる人の心にぞ思ふ夜は月いかに空を見るらん”(第十帖「鈴のすだれ」)
4.“懐かしき人のよみがへりしの葉は散りにけり”(第十四帖「若菜」)
5.“ただいまや置きまどはせばいたづらに雨やどりの聞こえつる”(第十八帖「玉鬘」)
6.“あまた人にかしづく衣、狭き縁とてあこがれ舞ひし橘の花。”(第三十二帖「橘小町」)
7.“美しくも儚き人の世を思ひつつ、我が身つに風の吹きおこす浪の心”(第四十二帖「月しぐれ」)